動力伝達機構のある部分の組立
ここからは、動力伝達機構がある場合の組立について説明します。
産業用ロボットをはじめとする機械装置では、モータの回転を目的の場所へ伝えるために、歯車やベルトなどの動力伝達機構が使用されることがあります。
このような機構では、単純に部品を取り付けるだけではなく、組立時に調整が必要になる場合があります。
今回は、その中でも歯車を使用した機構について説明します。
バックラッシュとは
歯車を組み立てるときに重要になるものの一つが「バックラッシュ」です。
バックラッシュとは、かみ合っている歯車の歯と歯の間に設けられた隙間のことです。
一般的な歯車では、滑らかに回転させるために適切なバックラッシュが必要です。
一方で、バックラッシュが必要以上に大きくなると、回転方向を反転させたときのガタが大きくなるなど、機械の動作に影響する場合があります。
そのため、機械を組み立てる際には、設計で決められた範囲にバックラッシュが入っていることを確認することがあります。
バックラッシュについて詳しく知りたい場合は、歯車メーカーの技術資料が参考になります。
国内では小原歯車工業(KHK)や協育歯車工業(KG)などが歯車を製造しており、歯車に関するさまざまな技術情報が公開されています。
バックラッシュを測定する
バックラッシュの確認には、ダイヤルゲージやてこ式ダイヤルゲージなどの測定器を使用する方法があります。
一方の歯車を固定し、かみ合っているもう一方の歯車を回転方向にわずかに動かして、その変位量を測定します。
ここで注意したいのが測定器の当て方です。
測定器は、測定したい変位を正しく検出できる方向にセットする必要があります。当てる方向が適切でないと、実際の変位と測定値に差が生じる可能性があります。
また、歯車は一つの位置だけで確認するのではなく、必要に応じて回転位置を変えながら確認します。
これは、回転位置によってバックラッシュに大きな違いがないかを確認するためです。
バックラッシュを調整する
測定したバックラッシュが設計上必要とされる範囲から外れている場合は、歯車の位置関係などを調整します。
一般的には、歯車同士の中心距離などによってバックラッシュが変化します。
ただし、実際にどのような方法で調整するかは機械の構造によって異なります。
そのため、実際の組立では図面や組立基準、使用する歯車の仕様などを確認し、それぞれの機械に適した方法で調整する必要があります。
組立には「調整」も重要
機械組立というと、ボルトを締めたり部品を取り付けたりする作業をイメージするかもしれません。
しかし、実際の機械組立では、部品を取り付けた後に測定を行い、設計された状態になっているかを確認する作業も重要です。
今回紹介したバックラッシュの確認も、その一例です。
機械の構造や要求される精度によって確認方法や調整方法は異なりますが、「組み立てる→測定する→必要に応じて調整する」という考え方は、精密な機械を組み立てるうえで重要なポイントだと思います。

コメント