今回は、ボールねじとLMガイドを使用した直動軸機構の組み立て方について説明します。
直動軸とは、ロボット本体を1,000mm、2,000mmといった長い距離で直線移動させるための機構です。
6軸多関節ロボットなどが本来持っている軸とは別に追加する機構で、「付加軸」と呼ばれることもあります。
直動軸にはいくつかの方式がありますが、今回はボールねじとLMガイドを使用した直動軸を例に、基本的な組み立て方を説明します。

ボールねじとは
まず、ボールねじの構造について簡単に説明します。
ボールねじは、主に「ねじ軸」と「ナット」から構成されています。
ねじ軸は、丸棒の外周にらせん状の溝が加工された部品です。ナットの内部には複数の精密なボールが入っており、このボールがねじ軸の溝を転がることで、ナットがねじ軸上をスムーズに移動します。
ねじ軸をモータで回転させることで、その回転運動をナットの直線運動に変換することができます。
直動軸では、このナットをロボットが載っている移動プレート(スライダー)に固定します。
また、ボールねじのねじ軸とモータの出力軸は、カップリングを使用して連結します。
カップリングには種類によって取り付け方法や締付トルクなどの指定がありますので、実際の組み立てでは使用するカップリングの取扱説明書に従って取り付けます。
LMガイドを取り付ける
次に、LMガイドを直動軸の架台に取り付けます。
ボールねじは、モータの回転運動を直線運動に変換してスライダーを移動させるための部品です。しかし、ボールねじだけでスライダーを正確な直線方向に案内することはできません。
そこで必要になるのがLMガイドです。
今回は、LMガイドを2本使用する構成を例に説明します。
まず、1本目のLMガイドを架台にボルトで締結します。この1本目のLMガイドが、もう一方のLMガイドを取り付ける際の基準になります。
長いLMガイドを取り付ける場合、私は端から順番にボルトを締めるのではなく、中央付近から左右に向かって締めていく方法をおすすめします。
理由は、LMガイドが見た目には真っすぐでも、わずかに弓なりになっている場合があるためです。
例えば、LMガイドにわずかな弓なりの変形がある状態で、片側から順番に架台の基準面(カタ)へ押し当てながら固定していくと、反対側へ進むにつれて無理が生じ、最後の方でLMガイドが基準面から離れたり、傾いた状態で固定されたりする可能性があります。
そこで、中央付近から基準面へ押し当てながら固定し、そこから左右へ向かって順番に締めていきます。
この方法であれば、LMガイドのわずかな変形を左右に分散させながら取り付けることができます。
すべてのLMガイドで必ずこの方法が必要というわけではありませんが、特に1,000mmを超えるような長いLMガイドでは、中央から左右へ向かって固定していく方法が扱いやすいと思います。

2本目のLMガイドを取り付ける
次に、今取り付けた1本目のLMガイドを基準として、2本目のLMガイドの位置を調整します。
2本目のLMガイド側に位置決め用の基準面がない場合は、スライダーを両側のLMブロックに固定し、スライダーを手で移動させながら2本目のLMガイドの位置をなじませていきます。
この状態では、2本目のLMガイドがスライダーの動きにならって位置決めされるため、2本のLMガイドの平行度が大きくずれていると、スライダーを動かしたときに重くなる箇所が出てきます。
スライダーをストローク全体にわたって動かし、引っ掛かりや極端に重くなる箇所がないことを確認しながら、2本目のLMガイドの位置を調整します。
位置が決まったら、2本目のLMガイドのボルトを締めて固定します。
こちらも、取り付け面のわずかなうねりや高さ方向の影響を考慮すると、中央付近から左右へ向かって均等に締めていく方法が無難です。
ボールねじを固定する
LMガイドの取り付けが完了したら、ボールねじ側の支持部を固定します。
このときも、LMガイドによって決まったスライダーの動きに対して、ボールねじ側で無理な力が加わらないように注意します。
組み立て後はスライダーを動かし、ストローク全体で動きが極端に重くなる箇所や引っ掛かりがないか確認します。
より高い精度が必要な場合
ここまで説明した方法は、LMガイドの走りをピックテスターなどで測定せずに組み立てる、比較的簡易的な方法です。
直動軸に高い精度が要求される場合は、基準となるLMガイドに対して、もう一方のLMガイドの平行度などをピックテスターで測定しながら調整します。
この方法になると少し専門的になりますので、測定方法や調整方法については別の記事で詳しく説明したいと思います。
まとめ
今回は、ボールねじとLMガイドを使用した直動軸(付加軸)の基本的な組み立て方について説明しました。
ポイントは、
- 1本目のLMガイドを基準として取り付ける
- 長いLMガイドは中央付近から左右へ向かって固定する
- 2本目のLMガイドはスライダーを動かしながら位置をなじませる
- ストローク全体で引っ掛かりや重い箇所がないことを確認する
- 高精度が必要な場合はピックテスターなどを使用して測定する
という点です。
文章だけでは分かりにくい部分もあると思いますので、質問がありましたらコメント欄に書き込んでください。
今後、LMガイドの平行度をピックテスターで確認する方法についても紹介したいと思います。

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